ホームレス・マネー
「ホームレス・マネー」とは、投資先を探して世界をさまよっている資金のことである。これは4000兆円に上る。ホームレス・マネーの出所は以下の3つである。
①先進国の年金や貯金、余剰資金
②中東のオイル・マネー
③中国マネー
ホームレス・マネーはウォール街の600人ほどのファンドマネジャーによって運用されている。彼らは、カネが集まりそうな兆しを誰よりも早く察知し、市場が過熱する前に資金を入れる。
結果として、新興国市場、商品先物、不動産と次々にバブルを引き起こした。各投資先の利回りが低下して、最後に行き着いたのがサブプライムローンである。
お金の流れが変わった理由
先進国が景気回復のためにゼロ金利や低金利にした結果、国内の余剰資金の運用先がなくなった。そのことが21世紀になって、世界のお金の流れが変わった理由である。
マクロ経済政策がうまくいかない理由
①ボーダレス化
ボーダレス化した世界では、マクロ政策の効果が逆になる。景気を引き締めようと、金利を上げると、ボーダレス・マネーが流れ込み、景気が一層過熱してしまう。
②サイバー化
通信、運輸、金融の進化により、ジャスト・イン・タイムの取引が可能になった。そのため企業は多くの在庫を持つ必要がなくなった。よって、金利が安くても企業はお金を借りない。
③マルチプル(倍数)化
手持ち資金の何倍ものレバレッジをかけた取引ができるようになった。そのため、ホームレス・マネーが、予想できないところに集中する要因となった。
なぜ日本に資金が来ないのか
スティール・パートナーズがブルドックソースを買収しようとした時、その買収防衛策を最高裁が認めてしまった。結果、外資は日本市場に背を向けた。
日本企業が外資企業に買収されることを拒絶する閉鎖主義が、海外資本を呼び込めない原因となっている。