ハーバード流交渉術の手順
①相手の態度に反応しない。
相手からの攻撃に反撃したり、挑発に乗ったりすると交渉はうまくいかない。まず自分が2階のバルコニーから見下ろしている自分をイメージすること。つまり、物事を客観的に観察することを心掛け、自分の中の衝動や感情とは距離を置くことが大切である。
②交渉相手の「武装解除」をする
交渉では相手が腹を立てて不信感を募らせることがある。これに対応するには、交渉相手の「武装解除」が必要である。
・相手が予期している反応と逆の反応をすること
人間は誰もが他人に理解されたいと思っている。相手が反撃してくるだろうと思っているところへ、歩み寄り、話を聞き、相手に理解を示すと、交渉を円滑に進められる。
・同意できる点は極力、尊重すること
相手の話をしっかり聞いたあとは、相手の言ったことを自分の言葉で繰り返して、それを伝える。「おっしゃりたいことはわかります」だけでも良い。相手の話を認めることは、決して同意することと同じではない。譲歩してまで同意する必要はないが、人は同意してくれる相手を攻撃しにくい。
・二者択一ではなく、双方はそれぞれの立場や経験において正しいと心掛けること
相手の話を聞けば、相手もこちらの主張を聞いてくれるようになる。
③ゲームのやり方を変える
交渉相手に「駆け引き」をやめさせて、互いの利益を合致させる方向に導く。
・質問により相手の情報を引き出す。
相手は質問に答えることで、話の焦点が「立場」から「利害」へと移る。
・質問は「イエス」「ノー」で答えられないものにする。
相手が「ノー」と答えられない聞き方をする。つまり、相手が何らかの説明をしなければならない質問をする。
④相手に「イエス」と言わせる
交渉相手が「イエス」と言いやすいように話を進める。相手を動いて欲しい方向に引き込む。
・自分の考えがいかに相手の考えを基盤にしているかを示す。
相手の考えを聞き出し、その中から最も建設的な考えを選び、自分の進みたい方向へリードする。
・相手の本音の部分を探る。
人は誰もが身の安全と他人から認められたいという願望を抱いている。この欲求を満足させてば、相手の非協力的な姿勢を180度転換させることができる。
⑤相手に「ノー」と言わせない
相手が同意を拒絶するのは、ほとんどの場合、相手が戦いに勝てると信じているか、自分の交渉戦術が優れていると思い込んでいるから。相手が考え違いしていることを知らせるために、合意できなかった時の損害の大きさ、合意した時の利益の大きさを気付かせる。
それでも駄目な場合は、信頼のおける友人や長年の顧客、目的を共有している団体等を頼る。